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ツイートよりはまとまりを意識して文章を書き散らす

現代物理学

駒場で初授業を受けてきた。そのなかでも記憶に残った授業の記録を取ろうと思う。

・現代物理学

数学の問題を数学の道具を用いるよりは物理のモデルを導入して物理問題にしてとくというお話。ちょっと面白かった。次の問題を扱った。

・正方形の頂点をなす4点を結ぶ最短経路を求めよ

この問題、まず以下のような図を思いつくだろう(たすき掛けと呼ぶ)

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しかし、以下のようにするとさらに短い経路を作ることができる

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図のようにxをおいて経路の長さをxの関数として出して微分すると、x=1-1/√3という結果が出てくる。

この過程では数学の力を利用したが、ここであえて次のような物理モデルを導入する。

 

・4点を結ぶ経路は、どこをとっても張力Tが均質な糸で結ばれるものとする。

 

実際はこんな糸が存在するかどうかは議論せず、あくまでも仮想的な糸と考える。

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4点を結ぶ糸全体のエネルギーは経路の長さをlとしてT×lと表されるから、lが最小ならば、糸のエネルギーが最小

 

つまり、このモデルでは問題は

・糸全体のエネルギーを最小にせよ

という問題に言い換えられた。

 

さっき数学的手法でやったときたすき掛けは最小ではなかったが、これは次のように説明される。たすきの交わり点をほんのすこし引き離してみる

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右側の交わり点は右側に引っ張られる。

同様に左側の交わり点は左側に引っ張られる。

だから、二つの交わり点ははなれる方向に向かう。よってもとのたすき掛けは力学的に安定でなく、エネルギーがより小さくなる状態が存在するため、答えとはならない。

すこしはなした交わり点はさらにはなれていくが、やがてそれぞれの交わり点で力がつりあう点で止まる。

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このつりあう点こそ糸がなす角120度となる点で、このときふたつの交わり点の距離(=x)は幾何計算から1-1/√3となる。これはさっきの答えと一致する。

このようにして数学の問題を物理モデルを導入することで解くことができた。(前半終)